観たり読んだり備忘録

片端から忘れてしまう観たものや読んだものを、記憶にとどめておくためにちょいちょいと走り書きとして残してます。それ以外もちょこちょこと。

ゼイラム(1991)

 大学生だった当時、新宿をなんとなくうろうろしていると、とあるビルのロビーで映画の小道具が展示されていて、それがこの「ゼイラム」だった。

そのままその場所で上映会が始まり、パイプ椅子が並べられていて「どなたでもお気軽にどうぞ」という感じだったので、10分だけ見ていこうかと腰を下ろしたところ、あまりに面白くて最後まで見てしまったのを思い出す。

今ではビッグシリーズとなった特撮<牙狼-GARO->の監督である雨宮慶太の映画デビュー作品。

賞金稼ぎの女性イリヤは、逃げ出した太古の生物兵器ゼイラムを追って地球に潜入していた。地球の文化レベルでは星間文明の存在を一切知らせてはならないため、ひっそりと目立たないようにしながら、ゼイラムに罠をかけて捕獲しようとする。

そこへひょんなことから電気工員の神谷と鉄平が巻き込まれてしまい、ゾーンと呼ばれる異空間でゼイラムに相対することになり・・・

のちに牙狼で開花する発想の素がすでにこの映画には詰め込まれており、低予算ではあるものの満載のアイデアで息もつかせぬ展開に最後まで引き込まれる。

ゼイラムやその部下の生命体たちが基本ヌルヌルベトベトな生物だったり、採取した遺伝子(神谷の肉片)から部下を作ろうとするが弱くて使い物にならなかったり、イリアの携行品の中にバカでかいゴキブリの幼虫みたいな食べ物が入って鉄平がかぶりついて食べてしまったり、イリアの髪飾りが牙狼の綱牙が身に着けているものとそっくりだったり、今見ても印象深いシーンが盛りだくさん。

小道具のこだわり方がとにかくよい。武器やパワードスーツの造形がカッコよく機能美にあふれている。特に武器は冒頭の展示で生で見ることができたのは幸運だった。

アクションもこだわり抜いており、ゆっくりとした殺陣的な子供向け特撮とは違う、素早く力強い戦闘シーンは見ていてほれぼれする。

また、イリアを演じた森山祐子の美しいこと。ひたすら強く冷静で苛烈なバウンティハンターなのだが、その冷徹な視線にゾクゾクしてしまう。

その後雨宮作品にはよく出てくる蛍雪次朗の演技もよい。牙狼では礼儀正しく情に厚い冴島家の執事を好演しているが、こういう荒っぽい演技の方が彼の本分である気がする。

そしてゼイラム本当にしぶといわ。初めて見たときは「まだ終わらないのか」「まだ続くのか」と、鉄平や神谷の気持ちになり切ってビクビクしながら観たのを思い出すが、これがたった97分で表現されているとは信じがたい。それだけいろんな要素が詰め込まれた映画なのだろう。


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ゼイラム

ゼイラム

  • 発売日: 2015/08/12
  • メディア: Prime Video