ホビット 思いがけない冒険(2012)

ロード・オブ・ザ・リング」の前日譚であり、三部作のうちの一作目。

以下、ネタバレ注意。

ホビット荘に住み、一人暮らしの生活を満喫しているビルボ・バギンズのもとに、昔なじみの魔法使い、ガンダルフが現れた。ガンダルフはビルボを冒険へ誘うが、日常生活に満足しているビルボにはその気がない。
ガンダルフを体よく追っ払い、おいしそうなマスのソテーの夕食を開始しようとしたビルボの家に、一人のドワーフが訪れる。ここに来ればいくらでも食べられると聞いた、と。
そしてあっけにとられるビルボをよそに食事を食べつくし、お代わりをねだる。そして次のドワーフが、さらに次のドワーフが・・・大切に貯蔵していた食物を10人以上のドワーフたちに飲み食いされ、茫然自失のビルボ。
そこにガンダルフがやってきて宴会に加わった。
ドワーフは邪竜・スマウグに支配されてしまった自分たちの国・えれボールを再建するための旅に出るところだった。助力を壊れたガンダルフは、助っ人としてビルボを咥えたのだった。
最初は旅への動向を拒んでいたビルボだったが、身の内から湧き上がる冒険への憧れに抗しきれず、旅の一員として加わった。

一行は旅の中継地点にあるエルフの里・裂け谷へ到着する。エルフは大小の大きさからドワーフの国がスマウグに襲われている際に助太刀に入らなかったため、両者は良い関係ではなかったが、ガンダルフが間を取り持つ形となった。
ガンダルフは領主エルロンドとエルフの長の妻・ガラドリエル、魔法使いサルマンと会談し、サルマンとエルロンドはドワーフたちの試みをやめさせようとしたが、ガラドリエルはひそかにガンダルフを支援する。
半ば強引に出立したドワーフ一行は、ゴブリンの罠にかかり捕らえられるが、遅れて到着したガンダルフの支援によりゴブリンを圧倒、逃げ出すことに成功する。
一方、途中ではぐれたビルボはゴブリンとの戦いの最中に谷底へ落ち、そこで醜悪な姿をしたゴラムに出会う。
ゴラムに食われそうになったビルボは機転を利かせ、彼を翻弄したが、その際にゴラムが落とした指輪を拾う。その指輪こそ、その後の「指輪物語」の鍵となる姿を隠せる指輪だった。
ビルボは指輪の力で脱出し、同じく脱出してきたドワーフたちと合流、その後オークたちに襲われるが、勇敢に戦いを挑み、ドワーフの長・トーリンを助けた。
彼らはガンダルフが読んだ大鷲によって救出され、一行は旅を続けるのだった。

最初に「指輪物語」を全部読破し、次に映画「ロード・オブ・ザ・リング」を観て、そのあとに本作を観たので、ビルボが若い!ガンダルフずっと爺さん!というところばかり感心してしまった。
しかし、映画を観るにつれて、この作品はその程度の凡作ではなく、圧倒的な映像美を誇る大作であることがわかってきた。
ストーリーは寓話的であまりリアリティはなく、ジェットコースター的な危機およびそれからの脱出が連続しているのだが、それを描写する映像と音響が素晴らしく、ひたすら感心しながら鑑賞することになる。
次々と視点の変わるカット割り、CGと実物の区別がつかない精細さ、人物一人一人の作りこまれた特撮など、最高の技術が結集して作り上げられた映画として名高いのもうなずける。
その割には「ロード・オブ・ザ・リング」ほど売れなかった。正直登場人物たちのキャラがあまり立っておらず、何より主人公のビルボが地味というのが残念ポイントだろう。「ロード・オブ・ザ・リング」の主人公フロドは儚げな美青年だったのを思い出す。
また、ストーリーもわかりづらく、盛り上がりに欠ける感は否めない。なんというか、登場人物の悪意や失望、嫉妬などの負の感情ばかりが目立ってしまっており、沸き立つ高揚感や前向きな前進思考などのプラス感情があまり感じられない映画なので、ちょっと疲れてしまう感じ。
まあ、肩の力を抜いて、ストーリーには入れ込まず、映像美を楽しむ分には最高だろう。大画面で視聴したい作品。