観たり読んだり備忘録

片端から忘れてしまう観たものや読んだものを、記憶にとどめておくためにちょいちょいと走り書きとして残してます。それ以外もちょこちょこと。

よみがえる変態(2019 星野源)

原題「蘇る変態」(2014)が、文庫化された際に改題とのこと。文庫で読んだ。
正直、楽曲もドラマもあまり触れる機会がなく、たまにオールナイトニッポンを聞く程度の接触度合いだったのだが、オードリーの若林さんつながりで気にはなっていた。たまたま何かのコラムで、病気をされた際の経験を本書に綴られていると知り、初めてエッセイを読んでみた。
前半は一般的なエッセイなのだが、なんというかこんなに大っぴらにエロいこと書いてる人だったのか。
いや、単にエロいことが書いてあるのではなく、甲斐性も行動力もない、要は一般的な男性が憧れとして性の対象を夢想する感じ。やたらと自慰をしているくだりが出てくるし・・・星野源ってこういうノリだったとは知らなかった。もちろん陰キャ弱者男性として好感が持てる。
また、女性の「ぽっちゃり」体形に関する持論を展開するくだりは当時話題になっており、ネットで見かけたのを思い出した。これが情報元だったんだな~。可愛いデブとポぽっちゃりを同義にしてくれるなという御説にはうなずくしかない。
そして後半の闘病記というか体験記。くも膜下出血という病気がこんなに大変なものだとは知らなかった。もちろん手術自体に大変なリスクがありそれを乗り越えるだけでも大変なのだろうが、実際はそのあとの頭部の激痛との戦いがひたすら続くという。
僕も子供のころから頭痛持ちだったので、ただの頭痛がひどいだけでも吐きそうになる感じがわかるし、実際苦しい思いをしてきたが、これはそんなレベルではないな・・・
しかもそれを2回乗り越えてきたというのがすごい。
当時、1回目の後か2回目の後かは判然としないが、復帰直後に「SAKUSAKU」へ出演されているのを見て、「ヘロヘロだな~」と勝手な感想を抱いていたのだが、そりゃそうなるよなぁ。
あれを乗り越えて、そしてそれを飄々と笑いにすら変えて文章にしていることに敬意を表したい。すごい男だ。

 

ワンダーウーマン 1984(2020)

予備知識なしにアマプラで見てしまったが、全部観た後にこれが第二作目だということを知った・・・やっぱりこういうのはフラッと観ちゃうと損することが多いな~。

1984アメリカ。主人公:ワンダーウーマンことダイアナ・プリンスは、その知性を生かしてスミソニアン博物館で働きながら、ワンダーウーマンとして世の悪と戦っていた。
職場の同僚として出会った、ナードっぽい地味な女性・バーバラは、FBIから盗品の鑑定を依頼されたが、その中に奇妙な石があり、「なんでも一つだけ願いをかなえる」と台座に書いてあった。ダイアナとバーバラが試しに願い事を言うと、本当に叶ってしまった。
一方、事業家のマックスが博物館への援助者としてバーバラの前に現れるが、彼はバーバラが持っていた石を探しており、こっそり持ち去ってしまう。
そして石の力を利用し、自分の願いが何度でもすべて叶うように仕向け、やがて世界中を巻き込み支配しようとたくらむ。
ダイアナはマックスと対決しようとするが、マックスの力で超人化し、彼を守ろうとするバーバラが目の前に立ちはだかる・・・

「一つだけ願いを叶える」を転用して「何度も叶うようにする」ロジックは昔から考察されてきた鉄板ネタだが、自分を石化することでそれを可能とするというのは、うまいことやったようなやってないような、ひとねじりしたようなしてないような。触ったものがすべて金になるミダス王の故事を思い出すが、そのような寓話的な話にはならず、圧倒的な力を使いすぎて弱体化していくというところはもうひと捻りほしかったなぁ。
前半部分のスタイリッシュな美女ダイアナとイケてないバーバラの描き方がかなり露骨で、バーバラが気の毒になるのだが、だんだんあか抜けて美しくなる過程を見せるための落差であることも最初から分かっているので、どうなっていくのかワクワクする。
しかしただ美女になるだけではなく、同じパワーを得て激闘を繰り広げるとは思ってなかったので、嬉しい裏切りであった。

古典になっているアメリカのテレビドラマ版は見たことがないので昔の状況はわからないが、ストーリーは単調気味で男はバカでも美しく強い女性たちが盛り上げてくれて楽しく仕上がっているのは変わらずなのだろうか。
やはりバックボーンを知っている前提で楽しむ映画なのだろう。第一作も観なくては。

 

テネット(2020)

何の気なしにアマプラで見始めたのだが、今まで観た中で一番難解というか、知恵が必要な映画だった・・・

ウクライナ・キーウの劇場でテロ事件が発生。主人公はウクライナ警察に偽装した形で潜入したCIAのエージェントで、重要人物の救出と重要品の奪取を任務としていた。以降、主人公の名前が出てくることは一切なく、クレジットも「名もなき男」としか出てこない。
作戦は失敗し、男はロシア側にとらえられて拷問を受け、歯に仕込んであった自決用の毒薬を飲み、意識が途絶える。
しかし、男は見知らぬ船の中で再び意識を取り戻す。そこには一人の男がいて、「あれは君を試すための作戦だった」と明かし、第三次世界大戦を回避するための組織「テネット」へスカウトされる。
指示に従いとある研究所へ行くと、そこでは「逆行する弾丸」を見せられる。時間を逆に進む弾丸は、撃つ前に存在した弾痕が銃口の中へ戻っていくのだった。男はこれと同じ現象をキーウの劇場で見たことを思い出す。それは、時間逆行装置「アルゴリズム」によるものであった。彼がキーウでプルトニウムと教えられて確保しようとしたそれがまさにアルゴリズムの一つであり、9つに分けられ未来から過去に送られた残りのアルゴリズムの存在を知ることになった。
男は弾丸製造の線を追うためムンバイへ飛び、テネットの協力者ニールと会って武器商人と接触するが、武器商人の男ではなくその妻の方が黒幕であった。
男は武器商人の妻から、ロシア人の武器商人セイターが関与していることを知らされ、その妻であるキャットと接触する。キャットはかつて美術品の贋作者アレポと不倫しており、セイターは脅迫のネタに使えるとその贋作品を落札し保管していた。
キャットの支持を得るため、セイターから贋作品を盗み出そうとする男はニールと共に、目的のものが保管されているオスロの美術品倉庫「フリーポート」へ潜入するが、そこであからさまに怪しい動き方をする謎の二人組と交戦する。
セイターは未来人と共謀して第三次世界大戦を発生させ、世界を滅ぼそうとしていることを知った男はセイターと接触をはかるがうまくいかず、キャットはセイターに撃たれて重傷を負ってしまう。
キャットを治すため時間を逆行する男たち。その中で、フリーポートで接触した二人組が実は男とニールたち自身であることがわかる。また、セイターとのアルゴリズム争奪戦では逆行状態でカーチェイスを行い死闘を繰り広げる。
セイターが死ぬと生体認証が作動してアルゴリズムが完成し、世界全体の時間逆行が起き、世界が滅ぶことを知った男たち。テネットの実働部隊が、アルゴリズムの一つが隠されているロシアのスタルスク12へ、時間を逆行してアルゴリズムの発動を阻止するべく作戦を開始し、男たちもそれに参加する・・・

…覚書として書いてはみたものの、何を言っているのかわけわからんなぁ、これ。
こんなに何度も何度も映像を観返して、Youtubeにアップされている解説動画を何度も繰り返し見聞きした映画はこれが初めて。
特に時間逆行の概念がわかりづらくて、往年の古いSFになじんだ身からすると却って腹落ちしないところが多い。特になじまなかったのが、「未来は確定しており、どんなに現在であがいても未来を変えることはできない」という点。ほとんどのSFは「未来は変えられる」前提となっており、それはすなわち現在を生きる人々に夢と希望を与えなければならないためだが、理屈を幾重にも重ねた本作のようなストーリーでは不確定未来は邪魔でしかなく、大前提のルールとして定めたということなのだろう。
そして時間の順行と逆行が入り混じるという、寡聞にして初見のシーン。映像は逆回しにすればよいだけかもしれないが、実際にこの中に参加したら脳が理解できずに爆発しそう。
しかし、時間は逆行しているのに重力は一定なの?慣性は?いろいろと疑問はあるが、見せ場としては大迫力で見ごたえ十分。でも理解するのがほんとに大変、というか未だに理解できた気がしない。
あと、クリストファー・ノーランの作品ではおなじみのあの耳障りの悪いノイズ的BGM。効果的なのは認めるがほんと居心地が悪くなるというか不安になるというか、見ている側の不幸せ感を煽るなぁ。正直苦手。
主人公の「名もなき男」が、なんとなく世間知らずというか若すぎるというか、最後までそんな印象がぬぐえなかったのだが、あとからデンゼル・ワシントンの息子だということを知った。お坊ちゃまだったか~。
キャット役のエリザベス・デビッキが非常に美しいのだが、それ故に日本人の主観的頭身とかけ離れすぎていて逆に怖い。こりゃかなわないわ。
終盤のニールのオチやキャットのくだりは、泣かせるが蛇足であるようにも感じる。まあ、こういうのがないとほんとに思考実験なだけで終わっちゃうもんなぁ。

TENET テネット(字幕版)

TENET テネット(字幕版)

  • ジョン・デイビッド・ワシントン
Amazon

 

燃えよデブゴン(1978)

年始のNHK-BS1がよくやっている、映画をいっぱい放映している枠で観た。
プライムビデオには有料でも掲載されてないのね・・・

田舎で豚の世話をしていた小太りのウォンは、叔父が香港で屋台飯屋を経営しており、人手を求めていることから父に命じられ、香港へ旅立ち、叔父の店で働き始めた。
店には日常的に料金を踏み倒すチンピラが来ており、なすがままの状態だったが、ウォンはブルース・リーに憧れ、日々鍛錬を行っていたおかげで武術の達人となっており、彼らを難なく撃退した。
しかし、おかげで報復に会い、叔父は意気消沈し休業を余儀なくされる。
職を失ったウォンは、レストランで知り合ったメイ・チェンを頼り、彼女がウェイトレスをしている高級レストランの皿洗いとして働き始めるが、ここでも乱暴者を退治して用心棒となる。
このレストランで億万長者のドクター・バーが主催するパーティーが行われたが、メイ・チェンはドクター・バーが手痛い失恋をした幼馴染に似ており、バーは彼女に嫌がらせを行い、手下に銘じて誘拐させてしまう。
彼女の救出に向かったウォンは、バーの手下である屈強な男3人と死闘を演じ、彼らに打ち勝ったのであった。

40年ぶりくらいに観たのだが、第一印象としては「デブゴンってハンサムじゃないか!」であった。
若かりし頃のサモハン・キン・ポーって十分イケメンの範疇に入ると思う。
そして、ちょっと顔が丸くてポッチャリしているだけで、そんなに太ってない。
原題が「肥龍過江」というのは初めて知ったが、「肥える」の字がちゃんと入っていて笑った。
しかし、やっぱり声がなぁ。字幕だったのだが、我々の世代はサモハンと言えば水島裕なので、あの声じゃないと逆に違和感が強い。
まあでもそこは仕方がないか。
サモハンは顔真似というか、「ブルース・リーに憧れている人が憧れすぎてよくやる顔真似」がすごくうまい。
この人ブルース・リー好きなんだなぁと思わせる演技が非常によく、好感が持てる。
こんなにいっぱいアクションをちりばめていたのかと改めて感心するほど、最初から最後までアクションが詰まっていた。
おかげでストーリーはあってなきが如しだが、まあアクションが観られればそれでよし。
あと、若いころのユン・ピョウがやられ役で出ているのも当時から話題になっていたが、今見てもちょっとワクワクした。

しかし、この後「燃えよデブゴン」は10作以上続くんだなぁ・・・
いくつかは観たことがあるが、コンプリートするほどの情熱はないなぁ。

 

仮面ライダーギーツ×リバイス movieバトルロワイヤル(2022)

もちろん子供が見る前提のコンテンツであり映画なので、普段は劇場版仮面ライダーは観に行かないのだが、今回ばかりはどうしても観たくて、娘をダシに使い映画館へ足を運んだ。

映画は前半が仮面ライダーバイスのパート。
全ての戦いが終わり、温泉旅行に出かけた五十嵐一家。
赤ん坊がいる。いつのまにか4人目の子供が生まれていた。マジか!
今回はその子が身に宿す悪魔がストーリーの主軸となって話が進んでいく。
そして中盤にギーツパート。メインキャラライダーが協力して、捕らえられたミニ悪魔を輸送出来たらゲームクリアという条件。
輸送したいギーツ側の仮面ライダーと、悪魔を切り離されると弱ってしまう4人目の赤ちゃん兄弟のために奮闘する五十嵐家ライダーたち。それぞれの利害が相反して戦いとなるが・・・

この映画を見に行ったのはギーツでもリバイスでもなく、20周年を迎える「仮面ライダー龍騎」から、仮面ライダー龍騎、ナイト、王蛇、リュウガおよび中の人が出演するから。
もちろん中の人はあれから20年の歳月分、齢を取っており、全員オッサンもいいところなのだが、観ているこちら側のおっさんも号泣モノである。あ~かっちょええ!
Youtubeで映画の番宣として彼ら懐かしのメンバーのトークがいっぱいアップされており、もちろん当時好きだったおっさんを狩り集めるためのおっさんホイホイなのだが、それに見事にはまってしまった。
でも現在の優れた映像技術で龍騎を観られたので、それだけですべて許せる。
しかし変身や必殺技のエフェクトが今のライダーと比べると地味で控えめ。それがまたよいところもあるのだが、今のライダーは今のライダーで大迫力であり、やはり現在まで連綿と続いてきた仮面ライダーの進化はすごいと改めて思った。
テレビて観ていても「このすごい特撮を毎週観られるっておかしいだろ」と思うくらいよくできているが、劇場版になるとそれが2倍くらいすごい。
そしてリバイスもギーツも、メインキャラが一列に並んで一斉に「変身!」というのが胸アツ。劇場版はこういうサービスカットが多いのでありがたい。

俳優さんや制作側の事情もあるとは思うが、また平成第一期のライダーを客演で出してもらえると嬉しいなぁ。

kamenrider-winter.com

シティーハンター THE MOVIE 史上最香のミッション(2019)

だいぶ前からアマプラで無料になっているのを見ており、なんとなく観た。
たまたま選んだのが字幕版だったのだが、吹替版も無料であることを見た後に知った。山寺宏一版もちょっと見たかったが、字幕は字幕でなかなかよかった。

裏稼業「シティハンター」でその筋では知られるスイーパー(掃除屋)、ニッキー・ラーソン(吹替版では原作通り「冴羽瞭」。
嗅いだ者を嗅がせた者の虜にしてしまう「キューピッドの香水」を警護する仕事の依頼を受けた瞭。しかし、開始早々何者かに香水を奪われてしまう。
そして強奪された際、カバンがすり替わり、平凡なサラリーマンの男性が香水の入ったカバンを持って行ってしまった。
彼の行方を追いつつ、香水を狙うマフィアとの攻防が繰り広げられる・・・

フランスでは「ニッキー・ラーソン」の方が通りがいいのだろう。分かりにくい日本の固有名詞は置き換えられる一例か。古くは鉄腕アトムが「アストロボーイ」だったり、超時空要塞マクロスが「ロボテック」だったり。
とにかく監督の原作愛がすごい。原作に忠実であるのと同時に、さらに盛り込んでやろうというサービス精神が旺盛。たまに行き過ぎてシティハンターとは関係のない「聖闘士星矢」や「らんま1/2」などがちょいちょい出てくる。効果音も聞きなじみのあるのがちょこちょこ入ってきてニヤッとしてしまう。
ちゃんと香がハンマーを振り回すし、後ろにカラスも飛んでたりするのも芸が細かい。
ストーリーも原作をなぞりながらも、実写化に即したアレンジが加えられており、丁寧な仕事ぶりに好感が持てる。
それにしても登場人物が原作に似すぎで笑ってしまう。作りこみがすごい。
原作に似た人を引っ張ってきたのではなく、メイクや小道具で寄せていっている努力が感じられ、これまた好印象。
主演・監督・脚本のフィリップ・ラショーは、顔立ちはそれほど瞭な感じではないのだが、雰囲気で似ている。wikiの知識しかないが、本作に向けて8か月に及ぶトレーニングで筋肉を大幅増量したとのことで、瞭のシルエットに似ているのもうなずける。
そもそもがラショーが原作好きで、原作の北条司に映画化を直談判で勝ち取ったとのことなので、愛があふれているわけだ。
しかし、香役のエロディ・フォンタンがまた絶妙だな~。そんなに美人ではないけどもすらっとしていて、細身ながらスタイルが抜群に良いといういいところを突いている。
もともとラショーとコメディーグループを結成しているとのことで、その点で抜擢されたのではないかもしれないが、本作をぐっと原作に近づけている一因。

フランス流のお色気やブラックユーモアはやっぱり独特な感じがする。日本より大人な感じがしてよかった。

 

シン・ウルトラマン(2022)

言わずと知れた庵野秀明監督作品。アマプラで観た。ネタバレ注意。

なぜか日本にしか現れない未知の生物「禍威獣」(かいじゅう)。通常の戦争兵器は彼らには聞かず、対応に苦慮した日本政府は、それぞれの道の専門家たちを集め、禍特対(カトクタイ)を設立。禍威獣への対策に追われていた。
その中で突如あらわれた銀色の巨人。正体不明の巨人は禍威獣を倒し、飛び去って行った。
新たに禍特対に配属された浅見は、銀色の巨人対策をメインに、禍特対のメンバーである神永とバディを組むことになった。しかし、神永は意味不明な質問を繰り返した後、禍特対メンバーの前から姿を消した。
その頃、外星人であるザラブ星人が日本政府と接触し、日本に限りなく不平等な条約を締結する。そしてニセウルトラマンを用い、ウルトラマンの立場を危うくしようと画策する。
そしてウルトラマンの変身体であることが世の中にバレてしまった神永は姿をくらます。
その後、別の外星人であるメフィラスが登場、浅見を巨大化させ、またしても日本政府と交渉し、ウルトラマンにも手を出すなと警告に来る・・・

正直、ウルトラマンはオンタイムでは見ていないのと、そこまで入れ込んでもいなかったので、本作にまつわる元ネタがあまりわからないまま見た。
ウルトラQへのオマージュや、当時の子供向け雑誌に出ていた嘘情報「ゾーフィ(元はゾフィー)が現れ、ゼットンを地球にけしかける」をそのまま盛り込んだりとか、コアなオタクの抜かりないインサートが随所にみられるようで、それを知っていたら面白さももっと強かったのかもしれない。
しかし、個人的にはとにもかくにも、最初に出てきたウルトラマンがあまりにもリトルグレイっぽすぎてひたすら気持ち悪い。もうほんとにグレイ大嫌いなので、やめてくれ~!と叫びたくなる。
当時、矢追純一のUFOスペシャル的なテレビ番組が人気を博しており、その影響を受けまくってしまい、お化けも幽霊も全く怖くないのに、宇宙人だけは、その中でもグレイ系は本能から恐怖を覚える。UFOに連れていかれてグレイがワラワラと群がってきて、体の中に何かをインプラントされる的なことを想像するだけで気がふれそうな気分である。
もちろんそういうのを敢えて想起させる目的があのデザインにあったのかもしれないが・・・。
その後、人の意思が入り込むことを表すかのように、血管的に赤のデザインが入って従来のウルトラマンらしい見かけになった時はホッとした。
アクションはCGだが、違和感なく作りこまれていて、大変な迫力。
当時は着ぐるみしか選択肢がなかったわけだが、敢えてその懐古趣味に浸らずに妥協しない姿勢が感じられてとてもよかった。

従来はあまり触れられなかったベータカプセルが技術力の象徴としてストーリーに取り上げられていたのも印象的。ちょっと「正解するカド」っぽかったけど。

また、ウルトラマンの意識と、変身体となる人間の意識の交流については、元の方ではかなりあいまいに都合よく描かれていたが、本作では人間・神永の意識はほぼなく、ウルトラマンオンリーで(記憶は神永のものを使えるらしいが)行動している。そのパターンもあるとは思うが、二つの意識が顕在で、相互に協力してほしかった。もちろんその方がダサいのはわかっているけれども。

あと、メフィラスは相当知的で策謀家として描かれているのに、最後いろいろうまくいかないと、結局は巨大化してウルトラマンと肉弾戦になるのね。まあ元作がそうだから仕方がないけど、知性が感じられない解決法だなぁ。もうちょっとスマートに撤退する方法があったと思うが、みんなもちろんアクションが見たくてウルトラマンを観ているので、そこはもう予定調和ということで。

それにしても日本政府は本当にだらしなく描かれている。もちろん実在の政府に対する当てこすりであり、現実の日本外交を皮肉っているわけで、だいたいこんなもんだよなぁという諦めの念が湧いてしまう。
最後は日本もちょっと頑張っていたけど。現実でもそうあってほしいものだ。