アジアパー伝(2000)鴨志田譲・西原理恵子

 もともと大学生の頃に西原理恵子のエッセイ漫画にドハマりし、単行本が出るたびに買っていたが、その連れ合いである鴨ちゃんのエッセイ。

一部漫画パートを西原理恵子が書いている。

鴨志田譲は戦場カメラマンに憧れ、アルバイトでためたお金を握りしめてタイへ渡るが、賭博詐欺で身ぐるみはがされ、無念の帰国。

改めてお金を貯め直してまたタイに渡り、いろいろな伝手をたどり、フリージャーナリストの橋田信介の弟子となって、ろくに触ったことのないビデオカメラを持たされ、戦場カメラマンとして世界各国の戦場を駆け巡ることになった。

というと聞こえはいいが、右も左もわからないバカな若者を大人がいいようにこき使い、バカなりに体力と気力だけがある若者がボコボコと打たれまくりながら少しずつスキルを蓄えていく様が、飾らない文章で描かれている。

変なプライドやカッコつけたところが一切ない語り口なので、非常に読みやすくて感情移入もしやすく、何よりわかりやすい。

鴨ちゃんはかなりクズっぽい感じはするのだけど、どこか憎めないところがあって、読んでいて楽しい。

周りに集まってくる人々も、みなクズばかりなのだが、それらの人たちの人間味あふれる生命力が伝わってきて、何度も読み返してしまう。

本作の後半では会って4日後の橋田氏にカンボジアのシェムレアップに連れていかれ、ぽんとビデオカメラを手渡されて、使い方もわからないままビデオを回し続ける様子が書かれている。

街中でぼーっと突っ立っていたらロケットランチャーに狙われた話とか、現地の食堂で大麻いりスペシャルスープを食べてキマってしまった話とか、最前線まで乗り込んだらポル・ポト派につかまってホールドアップとなり、カメラ機材一式とられた話だとか、臨場感あふれる、かつ現場にいた人しかわからないネタと雰囲気がいっぱいつまっている。また読もう。


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アジアパー伝 (講談社文庫)

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