第二段階レンズマン(1941 エドワード・エルマー・スミス レンズマンシリーズ)

 レンズマンシリーズ第三弾にして、キムボール・キニスンが主体となるボスコニア戦争最後の戦い。
タイトルは「第二段階レンズマン」なのだが、実際のキムは「銀河パトロール隊」の作中で第二段階やグレーレンズマンになっており、それぞれタイトルだけ後追いでつけたという感じ。

アイヒ族を首領とするボスコーンとの戦いに勝利したキニスン達銀河パトロール隊。これでやっとグレーレンズマン:キムボール・キニスンと、病院船の看護婦長:クラリッサ・マクドゥガルの二人が恋を実らせ、結婚式の相談をし八日というまさにその時、アリシア人からの思考波が届いた。
アリシア人は、キムが致命的な思い違いをしていることを指摘し、「若者よ、思考せよ!」と通信を終えた。
キムたちは今一度仔細を検討し直し、ボスコーンはまだ滅亡していないこと、超空間チューブで地球を攻められる危険があること、それは近いうちにお紺われること、という洞察を得る。
銀河パトロール隊がぬかりなくすべての準備を終えて数週間後、超空間チューブからボスコーンの艦隊が大挙して押し寄せてきた・・・!

銀河パトロール隊」ではほぼ地球人と同じ姿かたちで肌だけ青白いカロニア人のヘルマス、「グレーレンズマン」では不定形でグネグネした極寒の毒ガスの中で生息するアイヒ族、そして本作ではまた人間タイプの敵の首領がボスコーンを率いている。倒しても倒しても、その上の位が存在するという厄介な相手だが、読者はその頂上にいるのがエッドール人であり、アリシア人とほぼ同格の強者であることを知っているので、ハラハラしながらその構図を俯瞰できるという趣向。

また、本作ではいよいよクラリッサ、通称クリスがレンズマンになるというびっくり展開。女性はレンズマンにはなれない、というジェンダーレス現代であれば絶対許されない設定なのだが、クリスは全世代を通して初の女性レンズマンとなる。キニスンもよく自分の最愛の彼女を最前線へ送り込むような酷なことをしたものだと思うが、彼が知る限りでもっとも思考力が強く、その任務に適任だということを心で理解したからこその苦渋の判断であることが作中でも語られている。
ただ、レンズマン同士が恋人だと、思考波でいつでも会話できてよいよな。作中でもそれをこっそり楽しんでいるシーンがあるが、キニスンは公私混同はしないタイプなので、いくらでもやらかせそうなのだがそういうことはしない。さすがヒーローである。
本作の一番の見せどころは、キニスンが敵の首領がいる惑星に潜入し、その中でトップにのし上がっていくという、これまたびっくりな作戦を遂行するところ。そして最後の戦いへ身を投じていく。
この最後の激闘シーンが文章だけなのに鮮やかに映像が浮かんでくるほどの臨場感であり、レンズマンの中でも一番かっこいい。あ~、誰か映像化してくれないかな~。