狼の紋章(ウルフガイシリーズ)(1971)平井和正

平井和正の日本SF小説。

私立中学校・博徳学園はその名とは裏腹に不良だらけの荒れた学校だが、そこに一人の転校生がやってきた。彼の名は犬神明。不良だらけのこの学園で、どんなに絡まれても音をあげない謎の少年である。

夜の街で不良に絡まれている彼を見かけたこの学園の教師・青鹿晶子は、確かに彼の腹に吸い込まれたナイフの刃を見たのだが、翌日彼を問い詰めて確認したところ、そんな傷は一切なかった。

やがて彼の不屈さは学園中に伝播していくが、そんな中、暴力団の幹部の息子である不良たちの元締め、羽黒獰に目を付けられ・・・

今更この作品を一から読む人はまずいないと思うので先にネタバレしておくと、犬神明は日本太古より「大神」とも呼ばれてきた狼の精霊の末裔である人狼、狼人間である。

通常の人間とは比較にならないほどの驚異的な回復力、運動能力、反射神経、格闘センス等に長けており、メタモルフォーゼにより狼へ姿を変える。

この「狼の紋章」はその序章に過ぎず、狼人間の不死身性を求めた各国の諜報機関との戦いがこの後幕を開ける。

すでに先日ここで感想を書いた「犬神明」と「狼のレクイエム第三部」の一番最初のストーリーにあたる。

もともとは漫画原作からスタートしたが、原作者・平井和正による小説がスタートし、そのあと劇場版も作られるなど、当時にしては珍しいメディアミックス作品だった。

中学生の頃、友人に勧められて読み始めたのだが、ハマってしまい一気に読み進め、それと同時に古本屋をめぐって自分でも一そろい買い集めた。

自分が何者かであるはずの独自性・特異性を探し求めている男子と、この狼人間の話はすごくマッチしたのだろう。

犬神明は孤高の存在であり、人間社会からドロップアウトした存在でありながら、すべての人類より高みに立っており、その孤独さを愛しながらも愛を求めずにはおれないという矛盾した精神構造が、中二心をくすぐりまくったのだと思う。

ちなみに実写劇場版は主演が志垣太郎だが、彼もだいぶ背が低いので、竹馬のように高い厚底のブーツを履いて演じているのは内緒である。でもラッパみたいなパンタロンの裾からちらちら見えちゃうんだもんなぁ。

羽黒獰を松田優作がやっていたのだから、今思えば豪華な映画だった。

このウルフガイシリーズ、およびアダルトウルフガイシリーズ、そして幻魔大戦シリーズは、中学生の頃にはまりまくったが、今読み返しても全く持って面白いので、つい最近もウルフガイとアダルトウルフガイは全部読み直してしまった。幻魔大戦もそろそろ行くか。

狼の紋章【エンブレム】〔新版〕 (ハヤカワ文庫JA)