観たり読んだり備忘録

片端から忘れてしまう観たものや読んだものを、記憶にとどめておくためにちょいちょいと走り書きとして残してます。それ以外もちょこちょこと。

ジェレミー・クラークソン 農家になる(2021)

プライムビデオオリジナルで、第2シーズンが終わったので記念に感想を書く。

BBCの「トップギア」という番組がある。そもそもは車紹介の番組だったが、ジェレミー・クラークソンがMCとして参加し、更にジェームズ・メイ、リチャード・ハモンドが加わってからはすっかり「車をやたらめったらひどい言葉でこき下ろし、ごくたまに褒める」という車レビューと、高価な車を惜しげもなく使い倒してバカな企画を行うバラエティとしてすっかり定着し、世界中で楽しまれるビッグコンテンツとなった。
ただ、ジェレミーが制作側と揉めて、3人とも番組を降板。別の人がMCを引き継いだが番組はあっという間に終了した。後任MC版の番組を一度だけ観たが(そのうちの一人がよく観ていた「フレンズ」のジョーイの人(マット・ルブランク)だったので)、残念ながら「いい人がやっている車番組」になってしまっており、以前の面白さとは無縁となっていた。

ジェレミー、ジェームズ、リチャードは丸ごとAmazonが抱え上げて、「グランドツアー」というトップギア丸パクリ(タイトルからして頭文字を逆にしている(TG→GT))のアマプラオリジナルバラエティが始まり、またえげつないほど金のかかった企画ばかりやっていることもあって人気を博している。

そのジェレミーがイギリスの名勝地コッツウォルズで売りに出されていた農地を買い、自分で農業を始めてみた、というのが本コンテンツ。


もちろん一人でコツコツと家庭菜園などやる気はなく、人を何人も召し抱えて、ものすごくデカい重機を導入し、広大な敷地を耕していく。
初期のころはいろんなことに手を出してはうまくいかずにやめる、という体を取っていたが、後半になるとそれらの伏線が回収されて行き、広大な農園を管理しつつその経営に悩みまくる新米農園主としての一面が見えてきて観ごたえがあった。
最初はどうしても金持ち芸能人が趣味道楽で始めたように見えてしまうのだが、この農園にかかわるスタッフたちがみな個性的で、彼らとジェレミーがコミュニケーションし始めてからは俄然面白くなった。
特に農業全般を指導しているケイレブは、まだ20代前半なのにベテランで、ジェレミーを「仕事のできない素人」として対等に扱っているのが面白い。
日本であれば、仮に仕事ができなくても年上というだけで敬うことが多いが、そういう年功序列だったり年上を敬う的な文化は一切ないのがよくわかる。
ジェレミーも「俺は売れっ子芸能人なんだからもっと尊敬しろ」的なことは一切言わず、ケイレブの言うことには従順に従いつつ、ケイレブが一般常識的な知識がないと「え?知らないの?」と意地悪くも丁寧に説明したりと、仲良くやっている様子がとても微笑ましくてよい。
また、ジェラルドという老人は訛りがきつすぎて何を言っているのかさっぱりわからない。ジェレミーはほとんど理解していないし、字幕すら出てこないのでスタッフ側もわかっていないと思われるが、それでもなんとなく話をして一緒に仕事をしているのが楽しくおかしい。
人間の背丈より大きなタイヤを付けた数千万円のトラクターを衝動買いして使ってみたりと、アマプラオリジナルらしくかなり金がかかっているが、全体を通したテーマは「ガチで農業をやったら収支はどうなるか」であり、どこまでがバラエティでどこまでがドキュメンタリーなのか判然としない部分もある。
その辺をあまり突き詰めずに楽しむのが大人のたしなみというところだろう。

第1シーズンでは、1年やってみたジェレミーが継続するか悩みつつ「もう1年」と決断したところで終わるが、第2シーズンではもうすっかり農場主としての責任と自覚が芽生え、サステナブルな仕事として取り組んでいるように見えるのが頼もしい。
更には地域住民との軋轢も細かく取り上げられていて、いったいどこまでちゃんと許可取りがされていて、どの辺がキャストによる台本なのかがよくわからない。全部ガチだったらそもそもアマプラで流せないと思うのだが、イギリスの奥に事情もよく分からないのでその辺はそっとしておこう。
ただ、農産物や農園のキャラクターが販売されているネットショップは実在していて日本からも買えるので、その点だけは真実であることがわかる。結構頑張っているな~と思った。
続編が出たら観るぞ~。

 

収穫

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