観たり読んだり備忘録

片端から忘れてしまう観たものや読んだものを、記憶にとどめておくためにちょいちょいと走り書きとして残してます。それ以外もちょこちょこと。

シン・仮面ライダー(2023)

庵野秀明監督の劇場版を観てきた。

物語は唐突に始まる。
山中の峠道で、タンデム(二人乗り)のオートバイがトラック2台に猛スピードで終われている。運転しているのは本郷猛、後ろに乗っているのは緑川ルリ子。彼らはショッカーの構成員だったが、それを裏切り逃亡、本郷はバッタオーグへ姿を変えて追手と交戦し、ルリ子を救出、山中の隠れ家へ身を潜ませる。
そこへ現れたルリ子の父・緑川弘は、本郷が自らの開発した昆虫と人間のオーグ面テーションプロジェクトの最高傑作であることを告げるが、ショッカーのクモオーグが現れ殺害され、ルリ子は攫われる。
本郷はこれを追い、「仮面ライダー」を名乗って戦い勝利する。
ルリ子の案内により第二の隠れ家へ訪れた二人の前に、政府・情報機関の男二人が待ち構えていた。彼らとの交渉により庇護を受けることを承知した本郷とルリ子は、ショッカーのオーグたちとの戦いに身を投じることになる・・・

しょっぱなのカーチェイスからド迫力の映像がてんこ盛り。通常の劇場版で観たが、これだったらIMAXか4DXで観てもよかったかも。
また、ライダーに倒されたショッカーの下っ端構成員の方々は、ド派手な血しぶきを飛ばして死亡する。レーティングがPG12なのもうなずける。
特徴的なのは戦いのシーンで、通常東映仮面ライダーの戦闘シーンはスーツアクターの演技+CGが多く、そのテンポはスーツアクター次第なのだが、本作はかなりの割合をCGに振り切ってしまうことで、劇画調でテンポのいい超高速戦闘を実現させている。
早すぎて逆にユーモラスにも見えるのだが、ユーモラスであるがゆえに薄気味悪くもあり、それが演出の真意であるようにも見えた。
1号ライダーの本郷は「変身」をほとんど言わないのだが、2号やほかの方々は割と気軽に「変身」を発声する。個人的には「変身」好きなので、もっといっぱい言ってほしかったなぁ。

ストーリー上、緑川ルリ子が物語を先導していく形となっており、本郷は最初それに従って、のちに自らの意思でショッカーと戦うようになる。この頼りなげな感じを主演の池松壮亮が好演しており、いいキャスティングだなぁと思った。
逆に飄々として何でも気軽に乗り切っていく一文字隼人もよかった。
従来のシリーズでは漠然と悪の秘密結社としてショッカーが描かれていたが(緻密な設定があったのかもしれないが覚えていない)、本作ではきっちりと理由付けがされている。オーグが変身できる理由もそこに紐づけられていて、「ベルトに受ける風の力で風車が回り変身できるのだ」的なテレビシリーズのナレーションに「そんな小さいパワーで何で変身できるのか」と疑問を抱いていた洟垂れ坊主に対する回答がきちんと提示されているのはありがたかった。
まだ上映中なので詳細は省略するが、ハビタットときたか。おっさんからすると90年代に富士通がやっていたオンラインサービスを思い浮かべてしまうが、やはりアレからとったのだろうか。
あと、ロケ地が聖地巡礼の様相を呈していてワクワクした。と言っても個人的に理解できるのは平成ライダーの有名なロケ地だけで、おそらくそれも昭和ライダーのロケ地をオマージュ的に使用しているケースもあるかもしれず、孫オマージュに相当するところもあるのかもしれないが、それでも「ここは剣(ブレイド)で観た!」みたいな個所がいくつもあって嬉しかった。

興行収入的には苦戦しているという話も聞くが、画面が全体的に暗くて地味なので、そんなに興味がない方々からすると肩透かし感があるかもしれない。まあでも、よくできていたと思う。

www.shin-kamen-rider.jp