観たり読んだり備忘録

片端から忘れてしまう観たものや読んだものを、記憶にとどめておくためにちょいちょいと走り書きとして残してます。それ以外もちょこちょこと。

プロメテウス(2012)

リドリー・スコット監督作品で、「エイリアン」の前日譚として企画された作品。
ネタバレありなので注意。

遥か昔の地球。人型でありながら人間ではない何かが黒い液体を飲み、巨大な滝つぼに身を投じながら体を霧消させ、DNAをこの地に拡散させていった。

時は流れて2089年。人類は複数の古代遺跡の中に、共通の未知の文明とその始祖と思われる惑星の存在を見出していた。
惑星調査プロジェクトに出資したウェイランド社は、人類の起源を探すために、コールドスリープを使用した長距離航行で、優秀な科学者や技術者、彼らの世話をするアンドロイドなどを乗せた宇宙船を飛ばし、10年に及ぶ航海の後、始祖の惑星にたどり着いた。
地上に降り、調査に出動したクルーたちは、人工物としか思えない巨大建造物の中に入り、そこに人為的に作られたと思われる数々の遺跡を発見する。
調査隊と別行動をとっていたアンドロイドのデヴィッドが、残された痕跡の中から映像装置を発見し起動すると、人間型の生物が走り去っていくホログラムが映し出され、その先に始祖と思われる生物「エンジニア」の死体が発見される。
エンジニアを持ち帰った調査隊がDNA解析を行ったところ、それは人類のものと全く同じであった。
一方、デヴィッドは同じ場所から持ち帰った円筒形の物体に入っていた黒い粘着質の液体を入手し、ある行動に出ようとしていた・・・

元々は「エイリアン」のエピソード0として企画されたものの、例によっていろいろな大人の思惑や脚本の改変等があり、アウトプットとしては「エッセンスはあるが直系の前日譚とは言えないですごめんなさい」的な微妙な立ち位置の作品となってしまった模様。
まあ、映画制作は大勢の人間がかかわるわけだから、こういうのは致し方ないとは思うが、切ないねぇ。
ストーリーも多くのハリウッド作品にあるように、「本当にこれが科学者の精鋭たちの集団か」と疑いたくなるくらいに皆ワガママで勝手な行動をとる。
こういう個性的な人々じゃないとストーリーが進まないのはわかるのだが、それにしても自由だなぁ。アメリカではこれが標準なのだろうか。
そして、キーパーソンとなるアンドロイド・デヴィッドの、ウェイランド社への忠実さと裏腹な倫理観のなさがすごい。こんなやつにコールドスリープ中の大事な留守番を任せていたとは、後から知ったら背筋が凍りそう。
人類の起源をたどる荘厳な調査隊の話と思いきや、後半は粘着グロホラー映画になってしまうのは、エイリアン由来だからある程度は仕方ないが、前半の重厚なつくりに期待が高まっていた分、肩透かし感が出てしまうのは否めない。
ただ、異星のスケールの大きな風景や異星人たちの重厚な遺跡群、精緻にして巨大なつくりの宇宙船など、映像は非常に美しくて見ごたえがある。ストーリーは気にせず、画面を見て楽しむのが吉であろう。

今回は吹替版で観て、主人公の声優に違和感があるなぁと気になっていたが、最後のクレジットを見てなるほど・・・そういうことでしたか。まあ、よく頑張りましたね、ということで。
また、最後に出てくるアレには、リドリー・スコットの意地を感じた。こちらも頑張りました。