ブレードランナー 2049(2017)

 言わずと知れた「ブレードランナー」の続編的な話。リメイクではなく、ブレードランナーの30年後を描いている。ネタバレしているので注意。

この未来では人間に使役するアンドロイド、レプリカントが4年間の寿命制限付きで製造されていたが、あまりにも人間に似すぎたレプリカントが逃亡・反乱を起こすなどの社会問題が勃発し、一時は製造が禁止されていた。しかし、ウォレス社が政府に掛け合い、安全で制限寿命のない、新型のレプリカントを製造するようになっていた。
旧型レプリカントはすべて廃棄処分になっていたはずだが、逃亡したものも多く存在し、それらの旧型レプリカントを探し出し抹殺する職業:ブレードランナーが誕生したのであった。
LA市警でブレードランナー稼業を担っている「K」は、捜査の中で、人間とレプリカントの関係において重大な秘密に触れる。それは社会全体の秩序を脅かすほどの事実であった。
その事実は、前作「ブレードランナー」で、デッカードと一緒に逃亡したレイチェルは、デッカードの子を妊娠し、出産時の合併症ではくなっていたということ。
当時の社会では、人間たちはレプリカントを使役しながらも差別・迫害し、レプリカント側では自分たちの登録情報を抹消・抹殺することで人間になり切ることを画策してテロ活動をするなど、あまりにも人間に近づきすぎたレプリカントと人間の間で、関係が緊迫していたが、それはレプリカントがあくまでも人造アンドロイドであり、それ自体が種となりえないことが前提となっている。レプリカントが子を産めるということであるならば、それ自体で種の存続が成り立つことになり、人類の大いなる脅威ということになる。
また、埋葬されたレイチェルの白骨から得られた手掛かりと、K自身が持つ記憶の符号が一致し、デッカードとレイチェルの子こそ自分なのではないかという思いが芽生える。
一方ウォレス社の社長であるウォレスも、これらの事実の報告を受けており、自らを生命創造の神に例えているウォレスは以前からレプリカントに生殖機能を与えようと試みていた。そのため、ウォレスにとってもレイチェルの存在は非常に興味深く、部下であるラヴにデッカードの子供を探すよう命じるのであった。
しかし、捜査を進めていく過程の中で、実は二人の子は全く別の女性であり、自分がただのレプリカントでしかない事実を突きつけられ、Kは慟哭するのであった・・・

前作を知る者にとっては、結構「ええっ!」と言ってしまうような新しい事実があれこれと出てくるので衝撃を受けるのだが、ストーリーがあまりにも淡々と進み起伏がないので、生あくびを噛み締めながら話の展開を追うことになる。
映像も非常に美しく芸術的なのだが、もはやこれくらいの映像美は当たり前な感じがしてしまって感動が薄れる。
すごくいい作品なのだが、どうしてこう「面白い!」という気にならないのだろうと不思議になってしまう。
それはとどのつまり、主人公であるKがひたすらお人好しで純朴で素直なので、流されるままに話が進んでいくだけで、本人の意思や成長がほとんど感じられないからである。面白いストーリーというのは登場人物の意識の変革や成長なしでは感じられないのだなぁとあらためて実感。
逆に前作のブレードランナーが面白いのは、もちろんカルト的な人気を誇り、のちのサイバーパンクのすべての基準となった斬新な世界観があったからであるのは言うまでもないのだが、主人公のデッカードがカッコ悪くも泥臭く生き延びて、半ば強引に惚れたレプリカントであるレイチェルと逃げ延びるという意思を示したからだと思う。
まあでも、映像はとてもよかった。それだけでももう一度見返してもいいかも。