平井和正の初期単発長編。
近未来世界で、アンドロイドが人間の従僕として日常的に使われ始めた時代、主人公の若い刑事・野坂のもとに一体のアンドロイドがやってきた。
彼女の名はお雪。昔野坂が助けたことのある犯罪者が死ぬ間際に、彼のもとへ行けと雪へ伝えたのだという。
戸惑いながらもお雪をうちに置くことにした野坂。
一方、彼はその一本気かつ融通の利かない性格で、腐敗しつつある警察署内で孤立を深めていたのだが、そのうちかれが地元の実力者ポーターの一人娘・ケイと懇意にしていることから状況が変わってくる。
そして、お雪が来て以来、不思議なことが身の回りで起き始めるのだった・・・
平井和正といったら幻魔大戦とウルフガイなどの超長編シリーズが有名だが、こちらは単発の長編となっており、当然ながら一冊で完結する(彼の作品は完結しないことの方が多い)。
人間と見分けがつかないほどの精巧なアンドロイドは本作の中では「特A級」とカテゴライズされており、この世界でも非常な高額でまず手に入らないレベル。
お雪は当初隠していたが、そのうち特A級であることが明らかになり、いわゆるセクサロイド(性的なサービスの提供を目的とするアンドロイド)であり、かつゆがんだ欲求を内に秘めているほど高度な知性を持っているのだった。
男性誰もが、この特A級くらいの美人アンドロイドにいつか会いたいものだなあとしょうもない想像をするが、まあ生きているうちは無理だろうなぁ。